天使の息子がひとりいます。

天使の息子がひとりいます。

2016年3月、最愛の息子は1歳9ヶ月で突然この世を去りました。それまでと、それから。いろんな思いを綴ります。

マスキング効果と社長の涙

※妊娠についての記述あります。

 

 

昔、急性肝炎にかかって入院したことがあります。

墜落するようなだるさと眠気、繰り返す高熱、突然全身に現れる蕁麻疹、

外で何度も脳貧血で倒れかけ、肝炎だと判明するまで本当に怖かった。

内科に何度も通いましたが、風邪だと言われ。

ついに母に連れられ大学病院で血液検査をしてもらったら、

肝臓の数値が3つとも500~1000近くあり、

もうすぐ昏睡状態になりかねないと、帰宅禁止即入院になりました。

朝から検査と診察で8時間待たせてこれかよ。

と文句を言う元気もなくそのまま1か月入院したことがあります。

日和見感染だったので特に治療もなく、完治までただ安静にする1か月でした)

 

その当時、数ヶ月前からわたしはおさまることのない頭痛に悩まされていました。

激しい痛みではないものの、24時間止まらない頭痛。

どうやら仮面うつだったようで、最終的には心療内科の薬で治ったのですが、

(それは退院後しばらくしてのお話です)

頭痛により本当に心のうつ症状まで出てきました。

痛みがずっと消えないということが本当に辛くて。

こんなのが一生続くなら死んだ方がましだと、よく働かない頭で考えていました。

 

前置きが長くなりましたが、ここでマスキング効果です。

マスキング効果とは、本来は音に対して言うようですね。

同時に異なる2つの音波が耳に届くとき、弱い音波が強い音波に打ち消されること。

BGMをかけて不快な環境音を気にならなくしたり、

飲食店で自分のテーブルの会話が止まると急に周りの音が聞こえ出す、

あれがマスキング効果です。

 

入院してすぐの頃、わたしは頭痛を感じなくなりました。

主治医に、頭が痛くないです、治ったんでしょうか?と聞いたときの答えが、

「それはマスキング効果だと思いますよ」でした。

頭痛よりももっとずっと大きな苦痛(あのときは全身倦怠感かな)が、

頭痛を覆い隠して感じなくしていたんです。

人間て、苦しみや痛みにも、感じるキャパシティがあるんですね。

 

そのマスキング効果を、最近ひさしぶりに感じます。

今10w6d、わたしはつわりのピークです。

絶えず気分が悪く、絶えず全身の血の気の引く感じがして、

飲めるしある程度は食べられるから程度は軽いけど、24時間ずっとしんどい。

それが何も感じなくなる瞬間があります。

息子の最期を思い出して、身を引き裂かれるような自責の念に襲われているとき。

息子の不在が寂しくて、悲しくて悲しくて泣いているとき。

もうこの思いは何にも敵わないです。

感情の大波にさらわれて、肉体なんて無いように感じる時間です。

心はものすごく痛いけど、気持ち悪くないなぁ・・・

この間そう思ったので書いてみました。

痛み苦しみのマスキング効果って、本当、全然嬉しくない。

 

体調が良くないので思考も暗くなりますね。

だからここで嬉しかったお話。

わたしの夫は小さな会社に勤めています。

息子がお腹にいたときも、生まれてからも、

社長含め働いてる皆さんとお付き合いがあります。

(といっても年に1~2回で負担にならない程度の)

息子のお通夜にもお葬式にも、皆揃って来てくれて泣いてくれました。

その社長に、夫がわたしの妊娠を伝えたそうです。

好きなタイミングで伝えていいよと言っておいたので、

今が言いたいタイミングだったのでしょう。

そしたら。おめでとうって言いながら、社長、泣いていたそうです。

その話を聞いて、わたしはウルウルしてしまいました。

他人事じゃなく、わたしたち夫婦と息子とお腹の子のことを思ってくれる人。

ちゃんといるんだなぁって・・・嬉しくて。

また、きちんとお礼にいかなくちゃと思います。

 

待ちに待った3連休。

横になって体力回復に努める予定です。

頑張れわたし、頑張れお腹の子。